第43回鑑賞ツアー「あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本 の美術」@京都国立近代美術館

ミュージアム・アクセス・ビュー&京都国立近代美術館プレゼンツ!
2016年8月28日の朝晩が少しひんやりし始めた頃に、鑑賞ツアーをおこないました。

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鑑賞ツアー前には、京都国立近代美術館 主任研究員 平井さんに、当時の日本の美術家たちに大きな衝撃を与えたといわれる「アンフォルメル(不定型の表現)」について解説をいただきました。

ミュージアム・アクセス・ビューでは、鑑賞ツアーへ入る前に、鑑賞展覧会の作品の中から選んだ作品の“点図”を、見えない・見えにくい人を中心に配ります。
点図というのは、「突起した点を並べて描いた絵や図のこと。視覚障害者が絵や図を理解するために用いる」もので、これを作るスタッフは毎回苦労されているのですが…(苦笑)

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今回作成された点図のうち、森田子龍の「底」という書の作品の点図がありました。参加者が見てもさわってもよくわからなかったのですが、実際に作品を見た時に「あぁ!コレ!!」と声が1オクターブ上がるグループもあり、「書の作品で、予想外に会話が弾んだ。」という感想もいただいて、点図の持つポテンシャルをあらためて実感しました。

展覧会場の作品は、洋画・日本画・水彩画・彫刻・書など、約100点が5つのブースに分かれてありました。 全体的に抽象的な作品が中心で、「男女間で面白いと思うポイントが違って面白かった」という感想の通り、多様な解釈が参加者の中でも生まれていたようです。

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鑑賞ツアー後のふりかえりでは、「視点の違う人たちの言葉で、作品を立体的に鑑賞できた(見えない人)」、「抽象的なものを言葉にするのが難しい(見える人)」といった感想があがる中、特に多く聞かれた感想は「懐かしかった」です。 展示作品のモチーフや、そこはかとない空気感やにおいといったものなどから、過去の記憶と結びついた方が多かったようです。

「ワイヤーがゴチャッとなっていたりする感じとかは、わたしらが子どものじぶん、そこらへんの工事現場へ入っていったら、どこでもそんなんがコロがってる感じでしたわ。抽象の作品を作った人も、どっかでそういう景色を見とった記憶がどっかに入っとるんでしょうなー」といわれた、見えにくい人の感想はとても印象的でした。

京都国立近代美術館/ミュージアム・アクセス・ビュー 連携企画 第42回鑑賞ツアー 「オーダーメイド:それぞれの展覧会」

「オーダーメイド:それぞれの展覧会」では、美術館の数多あるコレクションから選りすぐりの作品が展示されています。

だた、通常のコレクション展とは違った展示方法がとられています。

各作品は、通常の展示で見られるような、ジャンルや技法といったカテゴリーで分けられているのではなく、「Money」や「Body」といった『キーワード』でくくられて、会場内11のエリアに分けて展示されています。
ですので、「日本画」と「写真」が1つのエリアに並べて展示されていたりします。

参加者は、見えない・見えにくい人6人、見える人11人で、そのうち初参加の方も6人いらっしゃいました。
鑑賞中は、交代で視覚障害者を手引きしてもらうので、手引きのレクチャーを行います。 初参加の人は、緊張してして腕がガチガチになってしまう人もいました。

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鑑賞を始めるにあたって、担当の方が「どこから始めればいいか迷うのではないか」と、11のキーワードを予めカードにして用意してくださっていたので、見えない・見えにくい人にカードを1枚づつ選んでもらい、ゲームっぽい感覚は否応なしに高まっていきました。展覧会場内は順路や動線が決まっているわけではなく、いろんなジャンルの作品があちこちにあるので、各グループは思い思いにいろんな作品を鑑賞していきました。

「うわー、全部に名前ついてるー」
「色見本って、こんなに名前ついてた?」   笠原恵実子《MANUS-CURE》

「これって朝顔っていわなかったっけ?」   マルセル・デュシャン《泉》

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「…人…どこ…?」              マックス・エルンスト 《人間の形をしたフィギュア》(像)

 ●… 鑑賞の様子 …●

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約1時間半の鑑賞を終えて、いつものように感想を話し合います。

「初めてでしたが、上手に言葉を引き出してくださって、とても楽しかったです」

「平面だけ、立体だけと1つのジャンルだけを見る感じじゃなくて、本当に色んな物を鑑賞できて満足だった」

「1人で美術館に来ると、『元を取らないと』全部見ようと頑張ってしまうけど、今日はちょっとしか見ていないのに十分だし、話しながら鑑賞することでほっこりもした」

「この作品とあの作品がどう関係してるのかとか、謎解きしているみたいで面白かった」

「向かいの京都市美術館は、ルノアールとかビッグネームを展示しているのに、なんでまたこんなコレクションでの展示をしようと思ったのか?」と、美術館担当者への質問も飛び出しました。

今回から、事前のインストラクションを丁寧にしようということで、全体で3時間半の長丁場でしたが、一様に楽しんでいただけた様子でした。

日時:平成28年5月15日
場所:京都国立近代美術館
参加者:スタッフ 7人
      見えない人・見えにくい人 6人
      見える人 11人

京都国立近代美術館/ミュージアム・アクセス・ビュー 連携企画平成27年度 第4回コレクション展鑑賞ツアー及び、「琳派イメージ」展鑑賞ツアー 報告

年の瀬も迫ってまいりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 去る10月11日(日)と11月15日(日)京都国立近代美術館で「琳派」に関連する作品を鑑賞するツアーを開催しました。

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今年京都では、京都市美術館、京都国立博物館、京都文化博物館、京都国立近代美術館の4館「京都ミュージアムズ・フォー」がそれぞれに展覧会を行い、琳派400年を盛り上げてきました。「琳派ってなんや?」と、漠然とした不安の中で鑑賞ツアーはスタートしました。
しかし、始まってみればみなさんの会話も弾んで、1枚目の最初の作品からなかなか次へ移動しない、いつもの鑑賞ツアーの様子だったのでひと安心でした。

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鑑賞後、感想を話し合う振り返りの時、鑑賞ツアーをはた目に見ていて興味を持った方が飛び入り参加してくださったり、「忘れていた色彩感覚を思い出した」という中途失明の方や、「山の中を歩いているみたい」という見えない方の感想も出てきて、それぞれに充実した時間を過ごした様子でした。

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最後に、ビューのスタッフ山川さんの「琳派イメージ」展ツアーレビューを掲載します。よろしければご一読ください。

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ツアー当日は、初参加の方も多くてどうなるかとも思いましたが、全体としては、みなさん思い思いのペースやスタイルで、鑑賞や対話を楽しんでいらしたのではと、感想会でのみなさんのお話を聴きながら感じました。
展覧会は、決して奇抜とか前衛的とかではない、本当に美しい植物や風景を描いた作品や、美しいデザインの、陶器や工芸品や和服等を、琳派との関連付けを基調に、幅広い時代や作品ジャンルからセレクトしてみせるというものだったように感じました。
参加者のみなさんは、最初は戸惑いや迷いもあったでしょうし、慣れないことばかりだったと思うのですが、それでも、どの作品の前でも、移動直前まで、参加者のみなさんが、新たに感じたり気づいたりしたことを途切れることなく次々と話してくれたのが印象的でした。
確かに、視覚的に見るという経験を持たないぼくには、今回鑑賞した作品の全体像を捉えたり、色彩や模様やデザインの美しさを実感として感じ取ったりするのは難しかったのかもしれませんが、作品の前で会話がたどたどしくなったりせずに、あんなに心地よく続いたり、実際には目で見ていないぼくでさえも、穏やかでのんびりとした感覚にさせられたのは、やはり作品が持つ大きな力によるところが大なのではと思われます。
鑑賞する作品が現代アートだったりすると、会話が弾んだり話が広がったりして楽しいだろうと、考えてしまいがちなのですが、殺伐とした社会の中で生きているという実感が強くなる昨今、こうした「正統派」とも言える美しい作品を、みなさんと共にのんびりじっくり味わうというのも、なかなか良いものだと、深く感じ入った次第です。

ルーシー・リー展のツアーが終りました

大阪市立東洋陶磁美術館でのルーシー・リー展の鑑賞ツアーが終りました。
今回は、感想会がなかったので、感想などありましたら、メールかコメントに入れてくださいね。

私のグループは、
なぜ、いまルーシー・リーが人気があるのか、この作品のどこに魅力があるのか、など問いつつ、しかし、晩年の作品には、完ぺきないびつさや、緊張感に、心を引込まれながら、しかし自分の愛用のマグカップやお茶碗の話しもしつつ鑑賞を終りました。器の内側には、外側の世界とはまた別の世界を感じるとおっしゃっていたのが印象的でした。

今回は、終了後、喫茶店でただぺちゃくちゃと交流会になってしまいました。みんなの感想はわからずじまいでしたが、交流はちょびっとずつしっかりできたような気がして満足しています。

アートピクニックin植物園、終わりました

今日は、自然の中での現代彫刻展を見ました。
うす暗いくすのきの並木道、小さくたくさん咲く花、空が見渡せる噴水広場など、そんな空間の中にある作品は、美術館とは違った表情でした。五感がおのずと開かれるのを感じました。

ちなみに、私のグループは、むっと空気が凝縮された温室に入り込みました。熱帯・亜熱帯・砂漠地帯の植物を見て、なんだこりゃ、と連発。葉っぱのでかさ、花のビビットさ、寄生もするし昆虫まで食っちゃう、大胆ぬけぬけと生きている様子に、やや動揺しました。ゴーギャンを連想しながら、熱帯の植物って案外、描きやすそうと思ったり。バナナの葉脈が美しかったです。
外の現代彫刻展では、木製の背中に黄色い月を背負う牛の、うつむき具合が気に入りました。

交流会は小さなグループにわかれて何ということもなくぺちゃくちゃしゃべって、なんだか満足。いつもより鑑賞を消化できたような、気もします。

参加者のみなさん、雨の中ありがとうございました。どうぞ風邪をひかないようにして下さいね。

二条城ふすま絵めぐりが終わりました。

二条城ふすま絵めぐりが終わりました。
雨を心配していましたが、とてもいいお天気になりました。

見所は、うぐいす張りのきゅっきゅっとなく廊下のある国宝、二の丸御殿の城壁。
絵の持つ役割がすごかったです。部屋ごとの演出としての絵画。権威を強調したり、くつろぎをもたらしたり。 絵画というより、建築そのもの・・ふすまや、壁や、天井や、欄間・・・その大胆さは、すごい。殿様の座るバックに描かれていたのは、にょきっ、くねくねっと横から松の枝がのびていて、あとはただ金箔の空白・・。日本人、やります。

鑑賞後は、青空の下、ベンチに腰掛けての感想会。みなさん積極的に話しをされました。疑問や質問も飛び交いました。それだけ見応えのある鑑賞だったのだと思います。ある人が、美術館やギャラリ—ではなく、本来「あるべきところにある絵」を見るのも面白い、とおっしゃっていました。同感です!
詳しい報告は後日、画像とともにウェブサイトにアップします〜。しばしお待ちを。

エッシャー展終わりました

初めての奈良での鑑賞ツアーが終わりました。

学芸員の方に、エッシャーの人生や見所など興味のそそられるお話いただき、鑑賞に入りやすかったです。視覚のトリックを見えない人にどうして伝えるのか、悩む部分もあり、伝えられないはがゆさ、見えないはがゆさにぶち当たりながらも、エッシャーの持つ世界感に触れた鑑賞ができたのではないでしょうか?
奈良盲学校の生徒さんや先生、視覚障害者協会の方など、奈良在住の方にも参加して頂き、新しい出会いや発見がたくさんありました。また、いつか奈良でツアーができたらいいかと思います!

クリムト、シーレ展 終わりました。

『クリムト、シーレ ウィーン世紀末 展』を見て来ました。
クリムトやシーレを好きな人はたくさんいるようで、参加募集もするすると人が集まりました。
人気の展覧会だったので、お昼のなるべく人の少ない時間を狙って鑑賞。おかげでゆっくりと見ることが出来たと思います。クリムト、シーレを知らなかった人も、少しは彼らの独特の雰囲気を味わうことができたと思います。

さて、次回の鑑賞ツアーの告知の変更のお知らせです。
来年2010年の3月28日に、告知していた、京都国立近代美術館は休館だそうで、急遽とりやめて、同じ日程で、奈良県立美術館の『エッシャー』展を見に行きます。少し先ですが、また楽しみにしていてくださいね。

三条通りアート散策終わりました

三条通りアート散策無事終わりました。
雨も降らずあたたかでひとまず、ほっ。

私(阿部)のグループは、ギャラリ—品と、千總、文椿ビルディング、H2Oと行きました。
古い町家や大正時代の建築の中にある現代アート。もしくは、新しいビルの中にある、明治時代の友禅。
新しさと古さが混じり合って、いかにも京都らしいツアーが堪能できました。
作家さんとのお話や、途中でコーヒーを飲んでの、しばしの団らんも楽しかったです♪
他のグループはどうだったでしょうか? またギャラリ—巡りのツアーをしたいですね〜。

エモーショナル・ドローイング展終わりました

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遠くから来ていただいた人がたくさんいましたが、無事お帰りになられたでしょうか?

美術館界隈はたくさんの観光客で混んでおり、ちゃんと集まれるか心配していましたが、みなさんぴたっと集まってもらって、無事鑑賞ツアーが始まりました。
今回、コーディネイターは中山さん。でも、私(阿部)も好みの現代アートで、どっぷりとはまりこむ作品の多い展覧会でした。しかし、感想では、好きな人と嫌いな人に見事にぱっきりと別れて、面白かったです。

「ドローイング」とは、ということを見えない人/見えにくい人にいかに伝えたらいいのだろう、と
スタッフで悩んでいましたが、なんと美術館側でも決まった定義はなく、まだ議論をされているとのこと。まさに概念もカテゴリーもまだまだあいまいな、現代の生まれたての作品たち。ということで、みんさんの感想、好きも嫌いも含め全てが、作品の評価につながるのです。

感想会はいつもグループごとの鑑賞の感想を言っていますが、今回は、1人ずつ、自分の好きな作品を言ってもらいました。時間がなくてぷっつり切っちゃいましたが、いい足りなかった人がいればぜひコメントにどうぞ。それではお疲れ様でした!

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